[コラム|愼茂然弁理士]特許権の保有と非侵害主張の関係
  • 登録日 : 2016/12/15
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特許を持っているとして、特許侵害ではないとは言い切れません。

 

お客様と相談してみると、「私が特許登録を受けたのに相手が私を侵害者だと主張しているから、その主張は不当なものだ」とよく言われます。甚だしくは特許訴訟においてもこの論理を主張する方々がいて、裁判官を困らせてしまうこともあります。しかし、次のような特許の本質を考慮してみれば、このような主張は交渉でも訴訟でも受け入れられないことが分かります。

 

まず、特許は独占権の性格を有します。その独占の意味は、発明に対し特許として登録を受けたなら、その特許発明を他人が使えないようにすることができるということで、特許登録によって特許権者がその特許発明を自由に使えるということではありません。そのため、私がこの発明に対して特許登録を受けたから特許侵害が発生しないという主張はどこでも受け入れられません。

 

また、特許は禁止権の性格を有します。即ち、特許権者は自分の特許発明を他人が実施できないようにすることができます。このような特許は、競争者に同一製品を生産できなくすることで、特許権者が競争で有利な位置を占めるようにします。逆に、特許登録を受けずに製品を開発及び生産して販売すると、僅か数ヶ月内に競争会社がコピー製品を作り出す場合もあります。特許は競争者のこのようなコピー行為を防ぐ役割をします。

 

一方、特許は使用権ではありません。だから、自分が特許を持っているとして特許侵害が発生しないわけではありません。即ち、自分の特許発明を自分が実施していても、他の特許権者より侵害主張を受けることもあり得ます。従って、侵害問題は特許登録を受けたという事実とは別個に検討しなければなりません。

 

以上、特許権の保有事実が非侵害主張(侵害ではない)とは関係がないという説明致しました。特許権の性格に関する説明が特許を理解するのにお役に立てればと思います。