[コラム|黄省弼弁理士]シュンペーター、創造的破壊、そして技術革新のための特許制度に対する疑問
  • 登録日 : 2017/01/24
  • |
  • 照会数 : 119

企業家精神」、「革新」という単語が使われてきたのももう長くなる。その時代に符合する企業家精神、またその時代が予測する未来の企業家精神に対する定義は時代によって異なり、変化して来たし、今後もきっとそうなるはず。

 

「革新」は辞書的に古くからの習慣・制度・組織・方法などを改めて新しくすることを意味する。「創造的破壊(Creative Destruction)」と「革新」という単語の中で前者は肯定的なイメージと否定的なイメージが結合された矛盾した感じを与える。

 

しかし、「創造的破壊(Creative Destruction)」と「革新」は同じビジョンを提示する単語であり、相互補完的に特定主題について合理的な説明を可能にさせる関係である。

 

ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter1883~1950)はオーストリア出身でウィーン学波の指導的経済学者であり、ナチを避けてアメリカに亡命した以降、世界的な経済学者の列に伍する。シュンペーターは1942年「創造的破壊(Creative Destruction)」が経済発展の原動力であると主張する。マックスの経済学に対する再解釈の結果、シュンペーターは創造的破壊、即ち革新について「既存の当然視されていた技術体系を崩し、思いも寄らなかった新しい技術体系を積み上げていく過程」であるという。


シュンペーターは技術革新のために特許制度が必要であるとみた。特許制度は発明家の独占的な地位を制度的に強化し、技術革新による経済成長を引き起こす経済政策であり、その原動力となると主張する。特許に対する権利は天賦人権、自然権などの論理によって特定人の所有が否定できないというが、制度の具体化と統合化は人類(特に先進国)の政治、政策的需要によって進行された側面があることも見逃すことができないという点を踏んだ上でシュムペトの主張を考えなければならない。

 

現在、大企業は産業に対する独占権の行使のために独占期間が満了することを最大限伸ばすためにいろいろ工夫しているらしい。その結果、産業に対する新規進入者を制止したり、産業において個人発明者または中小企業による新しい技術革新を邪魔したりするケースもあると思われる。特許制度は、単純に発明家の利益を保護するだけでなく、技術の拡散を促進し、また他の技術革新が引き起こるように助ける役割があるが、それに対する機会は等しくないように思われる。もちろん、その機会が等しいべきかどうかも論議の対象である。

 

特定化学分野は機械分野より発明の技術的情報が容易く把握できるという主張もある。完成品を購買した分析技術が日々発展しているからである。独占の代償として技術拡散を誘導する特許制度が特許外の他の経路を通じても技術拡散の役割をしているなら果して公開の代償という名分で独占権という強力な権限を与える意味があるか考えてみる必要があるだろう。また、技術公開の代償として独占権を確保する特許明細書にどの程度実質的に実施可能な技術が設けられているのかに関する議論は続くで特許制度自体に対する疑問は止まずに持続するはずであり、そうでなければならない。